バイオリニスト高嶋ちさ子さんの実父・高嶋弘之さん(89)は、音楽ディレクター・プロデューサーとして活躍し、かつて1966年にビートルズを初めて日本に呼んだ人

高嶋ちさ子さんはインスタグラムで

「父はいまだにワープロ(専用機)を使ってるという事がわかり驚く私」

「携帯は早いうちからスマホで、LINEもスタンプバンバン使ってるし、iPadで検索とかもしてるから、当然パソコンかと思いきや…」

「なので、原稿は全部他の人が打ち直さなきゃいけないと言う…」

「そりゃ大変だ。ま、お父さんが喋ることを打つ方が大変だけどね」

「という事で、苦労の作品買ってやってください」

と、昨年11月に高嶋弘之さんが出版した著書『笑う老人生活』(幻冬舎)を宣伝した

高嶋弘之さんはワープロの愛機について

「これならしゃべるように書けるんだよ」

と豪語しているが、記録媒体がフロッピーだそうだ

30年くらい前までは「日本語ワープロ専用機」というものが全盛期で、PCのワープロソフトにするか専用機にするか迷った人も多かった

PCを使いこなすにはPCの基本ソフト(当時だとMS-DOSかな?)についての知識が必要なので、それが無くても済む専用機は人気商品だった

価格は同じくらいだから、「いろいろやりたい人」はPCにしたが、専用機は文書作成だけに徹した便利機能もあって、使い慣れると「しゃべるように書ける」ようになって、高嶋弘之さんのように手放せなくなる

現在のPCで使われている普通のキーボードは、英文タイプライター(ABC・・・)が元になっているから、日本語(あいうえお・・・)の入力には余り適しておらず、その辺を日本語入力向きに改良してある訳だ

最も売れていた専用機の富士通「OASYS」には、日本語入力に特化した特殊なキーボード(親指シフト)もあって、これが非常に使い勝手が良いので熱烈なファンが多かった

現在のPCワープロソフトでも使える親指シフトのキーボードは、探せば今でも手に入るはず

 

▲富士通「OASYS」の特殊なキーボード「親指シフト

 

高嶋弘之さんはカシオの製品をお使いのようだが、他社製専用機やPCワープロとの文書互換性が乏しく(まったく読み込めなかったり、文書フォーマットが崩れたりする)、その辺が専用機の弱点だった

一つの会社内で複数メーカーの専用機が混在すると、経理部で作った文書が営業部で使えなかったりとか、いろいろ不都合が生じた

その後インターネットが普及すると、ネット接続に難のある専用機は廃れたが、とことん使いこなして専用機を「愛機」と呼んでいるような人は、高嶋弘之さんのように今でも愛用している

今となっては修理することも出来ず、代替機を手に入れることも難しいので、たぶん壊れると大変!

みなさん相当なご高齢でいらっしゃるので、ワープロが壊れるか人間が先に壊れるかの時間勝負かもしれない

上の高嶋ちさ子さんのインスタで「原稿は全部他の人が打ち直さなきゃ」というのは、ちょっと信じがたい

今は文書ファイルの互換技術が進んでいるし、最悪でもプリンターから印刷して文字認識すればいいだけだから、本当に手で再入力しているのなら、デジタル化に相当遅れた出版社かもしれない

PCやネットに非常にウトい「超文系人間」が、出版業界には棲息しているのかな?

(^_^;)